「木の文化」とは? (3)

また、スギの木目は美しく、日本人にとって最も木材らしい木材と言えるのではないでしょうか。銘木業者は、木の中で最も安いのがスギ、最も高いのもスギと言います。柱材などとして売られるスギ材は、確かにヒノキに比べれば安価ですが、桂離宮や数寄屋造りの茶室などに使われる建具、造作材のスギの中には、1立方メートル当たり2000万円を超えるものも珍しくありません。高級材と言われるヒノキでも1000万円を超えることは稀です。
木の文化と言うのは集成材やLVL、CLTを作る技術、それを使って大型の木造建築を建てること、建築された建物を指すのではないと思います。樹種へのこだわり、同じ樹種でも見た目、木味(木質)によって使い分けること、つまり木へのこだわり、愛着が木の文化なのだと考えています。
欧州や北米の人たちが木に求めるものは強度であり、それにより大型の木造建築物が可能になりました。それはそれで木の文化と言えるのかも知れませんが、強度的に近ければSPFのように樹種をゴチャ混ぜにしても気にしません。木材は単に構造用の材料でしかなく、そこからは愛着など生まれないでしょう。
戦後、日本では大型の木造建築や外壁、内装への使用は制限されてきました。ようやくそれらの制限は緩和されつつあります。日本人が持つ、木へのこだわり、愛着が、そのDNAに刻み込まれている限り、今までも、これからも日本は「木の文化」の国であり続けるものと信じています。
                          (終わり)